私の本棚その1「再起」
このカテゴリーでは馬関係の本を中心に、自分が読んだ本の紹介を指定イタイと思います。記念(?)すべき第1回は、ディック・フランシスの最新作「再起」(原題:UNDER ORDERS)です
「再起」(UNDER ORDERS) ディック・フランシス著
ご存じの方も多いと思いますが、著者のディック・フランシスは英国において障害競馬のトップジョッキーであった経歴の持ち主です。当作品は彼の40番目の作品になります。元ジョッキーの作品であるだけに、馬に関する記述・表現は他の作家の追随を許しません。この作品では馬に乗るシーンはありませんが、フランシスの「競馬シリーズ」において、主人公が馬に乗るシーンが多々あるのですが、その描写は真に迫っており、私も競走馬の調教をしていた頃を思い出し、手に汗をかくことが往々にしてあります。そんなときに、やはりフランシスは生まれついての馬乗りなのだなと感じ入ります。本書の訳者あとがきにもあるのですが
以下太字あとがきより引用。
≪インディペンデント≫誌のインタビューに対し、「八十五歳になったいまも、騎手であることに憧れている」と答えている
このような人であるからこそ、普段馬に接している人間に強く影響を及ぼすのでしょう。85歳にして、十代の感性を失わずにいられる事に感服してしまいます。私も長生きできたら、かくありたいと思います。
内容についてですが、フランシスファンにはおなじみのシッド・ハレーが主人公です。元リーディング・ジョッキーの隻腕探偵。シリーズ4度目の登場です。個人的には、今までハレーが解決すべきであった私生活面の問題がクリアーされており胸のつかえが取れました。ただ、今回の作品は翻訳者が変わっているので、なじむまでに時間がかかってしまいました。なにしろ、これまでの39作品はすべて菊池光氏の翻訳だったので、いかに、お弟子さんの作品とはいえなじめない部分がありました。特に作品の序盤は「菊池さんはこんな単語使わなかったな…」とか思ってしまいました。しかし、作品を読み進めるにつれ、そのような感覚はなくなり、フランシスの世界に没頭してしまいました。これは訳者の北野寿美恵さんの力量であると思います。訳者が変わっていることで読むことを躊躇している方がいるのでしたら、是非ご一読をおすすめします。もちろん、フランシス作品を読まれたことのない方にもおすすめします。ただ、シッド・ハレーの事をより深く理解するために「大穴」「利腕」「敵手」を順に読んで頂きたいな…とは思いますが。
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